毛筆は「手」の一部になる――オンライン書道講座
この書の講座は「毛筆に慣れる」ことを目的とした講座です。

たとえば日常ではたいてい「筆ペン」で済ませてしまうことが多いと思います。
けれども「筆ペン」と「毛筆」はまったく違う「道具」なのです。
じつは筆ペンより毛筆のほうが360度、自由に動かせるという点でかなり使いやすいものなんです。
筆ペンは毛先がシリコンなどの素材ですが、天然の獣毛を持った柔軟性は、毛の一本一本の細さが微妙に違い、ほかとは比べ物にならない紙との応答が臨めます。
このことを念頭に置いて、あらためてもう一度、筆を持って、紙との摩擦を楽しんでみてください。
滑らかに書くこととは違う感覚、手応えがあるでしょう。
それが「筆蝕」なのです。

そして、墨を磨るときに呼吸を整える。
その上で「楽な呼吸で」書の世界を「楽しむ」こと。
これがいちばんの上達の秘訣です。

重要なポイントのひとつは、手の感覚と視覚を研ぎ澄ますこと。自分の書いた文字を、お手本とどう違うのかをよーく見つめて、比べてみてくださいね。
まず自分自身が「筆になれる」指先に装備した毛筆の「使い方を知る」ことがいちばんの近道です。
肩に力が入ったり、紙や机に寄りかかっては筆と自分が「自由」だとはいえません。ある程度の自由さが筆致に現れてきます。

ふだん手にするボールペンや鉛筆、シャープペンなどの硬筆の筆記用具には自然と慣れ親しんでいると思います。
だから意識せずに「書ける」んですよね。
毛筆もおなじで「馴れ」「親しんで」楽しく書けるように
必ず慣れるようになるのです。
おなじ「筆記用具」にかわりがないんです。慣れると「自然に」使いこなせてきます。

「小・中学生のときは、書き初めはやったんだけどなぁ」
そのときは筆の「使い方を意識する」というよりは
「さてこの長い紙に5文字入るかなあ」とか
「名前のスペースをとっておかなきゃ」など
「紙と文字」の意識のほうが強かったのではないでしょうか。

じつはそのまえにやっておくと【役に立つ技術】というのがあります。
それは毛筆という道具にも「力が発揮できる方法」があるということなんです。
そして普段つかっている硬筆と違って「柔らかい、毛筆だからこそわかること」があるのです。
そして必ず日常的に書いている文字の上達への近道なのです。毛筆で書いた練習は硬筆に活きてくる。
「急がば回れ」とはよくいったものです。

わたしの講座では「毛筆の使い方を知る」ことによって、「普段書いている字がみるみる変わっていくのを実感」して欲しいと願って解説していることばかりです。
そのヒントが随所に出てきますので、メモしてくださいね(笑)。

🌟毛筆の使い方がわかれば字は変わる!

【筆が身体の一部になった】と感じる日が来たら
「書道ってこんなに楽しいものだったんだ」と
わかっていただけるはずです。

書聖の「臨書」であっても「楽しい」ものになるのです。

身体のリズムが筆に乗ったとき、
その先には思いも寄らない「発見」があるんです。

唐の偉大な大家たちは自分の毛筆の手法をそれぞれに持っています。
「筆はどのように動いているのか」を試していくと美術館での「書の理解」「書の見方」が拡がります。
【人(ヒト)の手で書かれたもの】は、わたしたちの心を動かします。

普段の呼吸は、いかがですか?
自然な呼吸をされていますか?

書は、深く酸素を摂り入れて身体に通わせていると
実感できます。紙との間に一つの宇宙を想像してください。

硯に水滴で水を垂らし
その面に人の手で作られた墨を
磨り下ろしていく

この動作のなかにも、自分のなかの本当のリズムを聴き
確かめていく「佳き時間」になります。

深く息を吸って、身体を循環させて
そして筆も動かして……

そうして本来の自分を取り戻す時間ができるはずです。
ぜひ一度、体験してみてください。

書の最初の一歩、それはあなたが踏み出さなかれば始まりません。なんの一歩も、あなたにとっては大きいものになるでしょう。

また【桃空書庵】ではご質問にもどんどんお応えいたします。
ご興味があれば書道史の本格的な基本を伝授します。

また「師範がとりたい」方にもご相談に応じます。

本格的に書道を学びたい人。
文字を少しでもうまくなりたい人。
それぞれの目的がちがうのはあたりまえのことです。
ぜひお気軽に質問してください。
書の世界への一歩をご一緒に体感してみてほしいと願っています。

桃空